介護保険ってなに?
介護保険は2000年に制定された、高齢者およびその家族を支えていくことを主な目的としている制度です。
40歳以上の国民を被保険者と定めており、保険料と国の公費から集められた財源は介護が必要な高齢者の方とその家族に充てられます。
この制度ができる以前は、介護が必要になった方の受け入れ先は全て行政からの"措置"という形で決められていました。そのため、行先のホーム(施設)に対して不満があったとしても、別の施設に移ったりすることは基本的に出来ませんでした。
しかし介護保険制度が出来ると、"措置から契約へ"という考えを基に、国民が介護を受ける場所を"決められる側"から"選ぶ側"に変わります。
これにより介護は"措置"ではなく"サービス"という意味合いが強くなり、社会福祉法人のみならず数々の民間企業が介護事業に参入し始めました。こうして今や全国にある有料老人ホームの数は8千を超え、他のホームにはない個性的なサービス、設備を備えたホームも増えてきています。
介護保険の概要
保険者は市町村(特別区)
介護保険の保険者は、原則として市町村(特別区)となります。そのため、"介護サービスを受けたい"と思ったときはお住まいの市役所の高齢福祉課(名称は地域により異なります)に相談に行ってみましょう。要介護認定等、介護保険に関する諸手続きを進めてくれます。
被保険者の違い・内容
被保険者は年齢により第一号被保険者と第二号被保険者の二つに分類されます。
第一号被保険者
- 65歳以上の方
- サービスのおもな受給者
- サービスを受けるには要介護認定を受け、被保険者証の発行が必要
- 月々の保険料は特別徴収(年金から天引きされる)
- 年金受給額が年18万円以下の方は普通徴収(納付書で納付)
第二号被保険者
- 40歳から65歳未満の医療保険加入者
- 第一号被保険者同様に支払い義務が発生するが、基本的にサービスを受給することは出来ない
- 条件を満たせばサービス受給が可能
- 月々の保険料は健康保険料の一部として徴収
おもな対象者(サービス受給者)は第一号被保険者となっていますが、第二号被保険者も特定疾病(16疾病)と診断され、介護認定を受けた場合に限りサービスを利用することが可能となります。
自己負担額は1割から3割となり、被保険者の前年度の所得によって変動します。
要介護度・介護認定調査について
老人ホームのWebサイトやパンフレットなどで、要介護○~といった単語を目にした事があるでしょうか。その方の身体機能や認知機能を、あらかじめ規格化された判断基準で区分化したものが要介護度です。
介護サービスを受けるには、この要介護認定を受け介護保険被保険者証がなければなりません。ではどのように申請すればいいのでしょうか。大まかな流れをご紹介します。
被保険者証の受給までの流れ
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1役所の担当窓口で介護認定の申請
介護保険によるサービスを受けるために、まずはお住まいの役所の担当窓口へ行きましょう。
原則的に、申請はご本人かその家族が行うこととなりますが、何らかの事情で窓口まで来られない場合は、地域包括支援センターや居宅介護事業者に代行してもらうことも出来ます。
また、申請の際には下記の4点が必要となります。
申請に必要なもの
- 介護保険被保険者証(第二号被保険者の方は健康保険証)
- 介護保険要介護認定申請書
- 医師の意見書
- 印鑑
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2認定調査
窓口での申請時に決めた日時で、市区町村の担当調査員、あるいはケアマネジャーがご自宅、または病院まで訪問します。
お身体の状態や生活のご様子、ご希望をおもに聞き取り調査にて確認することになりますが、必要に応じて身体を実際に動かしてもらうこともあります。
ここまでの調査の結果をコンピューター処理にかけ、介護に要する時間等を割り出したものが1次判定となり、そこからさらに保健、医療、福祉の各専門職で構成される介護認定審査会にて、医師の意見書等を考慮した2次判定が行われます。
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3結果の通知・介護保険被保険者証の郵送
申請から一か月程で、認定結果と介護保険被保険者証が送られてきます。認定区分は、要支援を含めて7つに分類されます。下に行くほど、より介護が必要な状態であると認定されたことになります。要支援については現状介護は必要とせず、支援のみあれば自立生活が送れるという判断の為、今後も引き続き自立生活を送っていけるよう支援する予防給付というサービスを受けることが出来ます。
要介護認定区分
要支援1
日常生活の殆どをお一人で問題なく行える状態。
要支援2
歩行や日常動作にやや低下が見られ一部介助を要するが、ほとんどの事はお一人で行える状態。
要介護1
日常生活はおおむねお一人で問題なく送れるが、要支援に比べ生活動作や認知機能に低下が見られる状態。
要介護2
生活動作において部分的な介助を要し、認知面の低下や問題行動が見られる状態。
要介護3
日常生活における基本動作全般に介助を要し、立位保持や歩行が難しい状態。
要介護4
食事、排泄、清潔保持といった生活動作全てに介助を要し、要介護3に比べ認知能力や身体機能に低下が見られる状態。
要介護5
介護なしでは生活することが出来ない最も重度な状態。意思疎通を図ることも難しい状態。
以上の認定区分によって、介護保険内で支給される限度額が決定されます。その金額に沿って、ケアマネジャーはケアプランを作成していきます。
重度になるにつれ支給限度額は高額となりますが、もし限度額以上のサービスを受ける場合は全額自己負担となります。